イオンデジタルアカデミーの取り組みとは?
溝口:イオンデジタルアカデミーの取り組みについて教えてください。
櫻庭:株式会社リード・イノベーションは、約60万人の従業員を抱えるイオングループにおいて、「イオンデジタルアカデミー」を2021年から支援しています。IT部門だけでなく、現場部門も巻き込みながら、最新のデジタル情報に触れられる学習機会を提供してきました。
例えば、3,000人以上が参加するオンラインイベント「DXラボ」や、お昼休みに200人以上が集まる「社内勉強会」、ポータルサイトを通じた情報発信など、多様な学習プログラムを企画・運営しています。その中でリード・イノベーション社は、社内に新しいデジタル文化を根付かせるための伴走型パートナーとして、私たちの挑戦を後押ししてくれています。
デジタルアカデミー誕生の背景
溝口:なぜ、デジタルアカデミーを始められたのでしょうか?
櫻庭:きっかけは、2019年に私が行ったグループ企業63社へのヒアリングです。ホールディングスのIT責任者に任命され、トップマネジメント、本社社員、店舗従業員、IT担当など、さまざまな立場の人からデジタルに関する意見を聞きました。その中で、「自分には関係ない」「意見をしても変わらない」といった後ろ向きな意見が多いことに危機感を覚えました。
例えば、新しいデジタルツールが登場しても関心が湧かず、「DX」や「デジタルシフト」という言葉を知っていても、具体的に何を意味するのか理解しようとする姿勢がない。これを変えるには、知識やスキルの提供だけでなく、企業文化の醸成が必要だと考え、デジタルアカデミーの設立に至りました。
リード・イノベーション社も、単なる施策支援にとどまらず、「デジタルを学ぶことが楽しい、価値がある」という空気を、改革を実行するイオンメンバー全体に広げる支援をしてくれています。この伴走がなければ、ここまでの変革は難しかったでしょう。
アジャイル思考でスピーディーに実践
溝口:イオンデジタルアカデミーのプロジェクトは、人事ではなくホールディングスのIT部門が起点となり、全社のデジタル人材育成プロジェクトを進めていることに、ユニークな面白さを感じます。
櫻庭:DXラボやプロトタイプ作成トレーニングなど、アジャイル思考を取り入れてスピーディーに企画・実践できたことが成功の要因です。最初から全社展開を前提にせず、まずは小さく始めて成果を積み重ねることで、スムーズに広がりを持たせることができました。加えて、リード・イノベーション含め協力会社の支援があったことで、単なる研修ではなく、実践的な学びの場を提供する仕組みを構築できました。特に、現場の声を拾いながら柔軟に施策を調整できる点は、大きな価値だと感じています。
BLAST(突風)の瞬間
溝口:イオンデジタルアカデミーは2023年4月にイオングループの経営幹部表彰で特別賞を受賞しました。まさにBLAST(突風)が吹いた瞬間でした。この取り組みの中で、櫻庭さんが普段から大切にしている考え方はありますか?
櫻庭:私の信念は、「自分が面白いと思うことを信じてやり続ける」ことです。仕事の企画でも、飲み会の企画でも、自分が面白いと思わないものはうまくいきません。
デジタルアカデミーの取り組みも、「まずは自分が興味を持ち、それを楽しむこと」が重要でした。その姿勢が、周囲に伝播し、結果的に社内文化として広がっていったのではないかと思います。
デジタル変革のきっかけを創るのがBLASTER
溝口:リード・イノベーションには、「BLASTER=火をつける人」というコンセプトがあります。櫻庭さんはまさにイオンのデジタル変革におけるBLASTERだと感じます。今後のイオンのデジタル変革に対する期待を教えてください。
櫻庭:イオンの社員には、もっと外の世界に触れてほしいと思っています。私は若い頃からITのトレンドや他社事例などを積極的に収集し、それを社内に還元することを意識してきました。結果として、多くの施策を生み出すことができました。
今はベンダー企業や協力会社からの情報提供もありますが、「自ら学び、行動する姿勢」がますます重要になってくると考えています。
リード・イノベーションへの期待
溝口:最後に、今後のリード・イノベーションへのご期待をお聞かせください。
櫻庭:リード・イノベーションの最大の強みは「伴走力」です。これからも、イオンピープルに新しい視点を提供し、共に考え、実践していってほしいです。イオンは今、変革の真っ只中にいます。だからこそ、リード・イノベーションには、いい意味で引っ張りながら、時には伴走しながら、変革を後押ししていただきたい。
デジタル化の成功は、単なる技術導入ではなく、「人」の変革にかかっています。リード・イノベーションの伴走力があれば、それを実現できると確信しています。